「シルバーレイン」の北野坂かののブログです。
わからない人にはわからない内容です。
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男は静かに箱庭を作っている。
うちはいつもそれを黙ってみている。
出来のいい箱庭。
小さな空間には心地よさそうな世界が広がる。
そこへ男はレールを敷いて、
鉄道模型を走らせたりする。
そして自分が作った箱庭を、
傍観者のように冷めた目で
麦茶なんかを飲みながら眺めている。
男は人形もいじる。
人形といっても、
子どもに与えるような可愛らしいひとがたや、
「至高の存在」を目指していじくる類の人形ではない。
彼がいじるのは、
武装に身を包んだ女性の人形。
彼女たちの武装を作るために、
うちにはわからんような材料をこねくりまわしたり塗装したりして
黙々と作業を続けている。
頑強そうな武装に身を包んだ少女たちの人形を見て思う。
…彼は、「お母さん」がほしいのではないか。
本当は箱庭の世界へ行きたいのではないか。
いつも彼は、この世界ですら一歩引いた目線で見ているように思う。
それはけして口にしてはいけないワード。
彼の深層。
人のこころの奥底を暴けば、
それは必ず咎となり裁きがくだる。
そして、男もまた、
うちの触れられたくない深層を知りながら、黙っているのだろう。
しかし、ちらと見たことのある男の恋人を思い返し、
なんだか「なるほど」と思うのだった。
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