「シルバーレイン」の北野坂かののブログです。
わからない人にはわからない内容です。
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床にへたりこみベッドにつっぷして泣いていた。
最近ずっと悩んでいたこと。
初めて入った結社を退団してきた。
お世話になった人たち、
大好きな人たちのいる場所を出て行くのは、
こんなにもつらいことなのか。
ノックもせずだれかが部屋にはいってくる音がした。
マウだ。
彼はしばらく部屋の入り口にたっていたようだが、
遠慮なくベッドに座った。
「あんたも、『処刑』にしたん?」
泣き顔をさらすことも気にせず、彼を睨みつけた。
彼は少し考え込んでから、
「ああ、エレインですか。」とつぶやいた。
「僕は保留にしましたよ。」
意外な言葉に驚かされた。
「彼女はそれなりの身分のようですが、
それならば救助しにくる者がいるでしょう。
日本にくるならそれなりの時間をかけての準備が必要ですから、
今までなにも起こらなかったのは不思議ではない。
そして救助部隊がこちらにきたときに捕虜が処刑されていたのでは、
向こうの怒りを煽る結果となり最終的に敵対し続けることになります。
それに人質は生きていないと価値がありませんから。
人質をただで逃がす必要ももちろんありません。
指の一本でも多少は役にたつというものです。
エレインに価値があるかないかは今後救助がくるかどうかでわかるでしょう。」
マウは立て板に水を流すようにしゃべり続け、
うちは途中までなるほどと思い聞いていたが、
最後には眉間にしわが寄っていた。
「………陰険。」
うちのつぶやきを聞き、
彼は穏やかな笑顔で言い放った。
「一番面倒なのは捕虜の処遇を含めた戦後処理と相場がきまってますからね~。」
ふふふと楽しげに笑う彼を見て、
頭痛はやみ涙もとまったが、
今度は当たってしまった自分がはずかしくなりつっぷした。
どうやら、エレインのことで泣いているのだと勘違いされたようだが、
「上手くいかないときはなんでも上手くいきませんよね~。」
なんて、いつでもなんでも上手くいっていそうな男は空を眺めている。
#マウは冷たくて優しい猫みたいな人だー。みんなの空気。
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