その男、ただのしかばねにつき。

家に帰るとマウが床に転がっていた。
テーブルの上にはカレーを食べた痕跡。
クーラーが効いている。

………これが噂の…。

マウマウは眠くなるとどこででも寝るらしい。
よく佐藤のマンションで踏まれている。
邪魔なのでうちも踏んでみた。
…起きない。

どこまでやっても起きないのか。
油性マジックを手に持ち顔に近づけた瞬間、
素早く上体を起こしたマウに手をつかまれた。
獰猛な緑の瞳が突き刺さるよう。
体が硬直する。

だがそれは永かったようで実はほんの一瞬のできごとで、
「…なんだ、かのさんですか～。」
次の瞬間にはいつものマウ…がふにゃふにゃになった感じだった。
「らくがきですか？いけませんよ～。」
「…はい。」
「では僕は寝させていただきます。おやすみなさい。
　あ、それと僕の恋人はメバルですので、
　けしてお手は触れないでくださいね。」
「…は、はい。」

なんかいろいろつっこみどころがあったが、
気にしないでバイトにいくことにした。


＃ルンペンおぼっちゃまがついにかの宅にまで。
　　「トルコ並の鍵の甘さ」だそうです。古そうなアパートですからね！
　　ちなみに二人が恋愛関係に発展することは永久にありません。
　　チーム萩沢PTAとKKK（北野坂かのを考える会）審議により。
　　マウは恋をしないからマウなのであり、
　　かのが自分を愛してくれない人を愛せるとは思えないという。
　　ある意味互いに「興味ない」んです。