真っ白な、それは真っ白な。

真っ白な男に久々に会う。

倉庫の王。
物資も、軍資金も、
みな彼の倉庫に集める。

彼は決して表舞台で戦ったりはしない。
彼に主は存在しない。

倉庫を貸す報酬でひっそりとそこに暮らしている。
…といっても、キジさんの友人で、
これまたひどいバイク好き、
思考回路も似たり寄ったりときたら、
「ひっそり」とはいえないのかもしれないが。

彼は戦争時の資材の調達なども行っている。
むしろ、それが学園での主な役割らしい。
元は軍人のようなものだったらしく、
これがまたとてつもないこだわりよう。

だからこそ信頼できるのであり、
みんな彼に預けるのだが。
必要でないものを預け、
必要なものは頼めばすぐに運んでくる。

彼に出会って初めて、
こんな戦い方をする能力者もいるのだと知った。

「今回のこと、どう思う。」
問いかけてみた。
「それを俺に聞いてどうする。
　俺はおまえたちが戦う準備をするだけだ。」
よどみなく言葉が返ってきた。

力を持っているのに振り回したいとは思わないのだろうか？
ゴーストを撃ち抜く快感を、
敵をほふる快感を、
知りたくはないのだろうか？

「殺すのは飽きたからな。
　おまえたちが死ぬまで生かし続ける方が、面白い。」
倉庫の王は、にやりと笑う。
思考は完全に読み取られていた。
「…サディズム？」
「ヤー。」

なるほど。
献身とは程遠いナイチンゲールはにやりと笑む。