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「シルバーレイン」の北野坂かののブログです。 わからない人にはわからない内容です。
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今回の黙示録で後ろの子らに全力を出し切らせられんかったんは、
うちの責任や。
もっと自己回復を積んでいくべきやった。反省。



『博士』はあれこれと試験管やビーカー、
うちにはわからん機械なんかをいじっている。

「アンタもこりないなぁ。」
と、眠たそうに人様の家で横になっている倉庫の主がいう。
「さっさと足洗えば全部夢だと思って忘れちまえるのに。」
博士はそれに、微笑むだけで返す。

好奇心はおさえられない。
「博士はなんで、『あの子』を作ったん?」
ついに聞いてしまった。
「重力に勝ちたかったからですよ。」
博士はこちらを向き、眼鏡の位置を直した。
そして、完成したのは半端なものでしたが、
と、つけくわえる。
「…失敗作、てこと?」
ものすごく嫌な気分が広がるが、
「子供を作るのに成功も失敗もありませんよ。」
博士はきっぱりと言いきった。

彼は人類を超える生物を造ろうとした。
そのためには資金が必要だった。
だから『出資者』がいた。
『そういう生物』を必要とし、金をだしてくれる存在が。
今はもう存在しないが。

いかに娘を「かわいいいい子です。」といえども、
危険な人物に変わりはない。
今は娘を愛しているとはいえ、
一度はその子供に堅気でない仕事を仕込み、
送り出した男だ。

…とはいえ、『あの子』にとっては唯一の肉親。
いや、肉を介してはいないのだが。

足を洗えばいいのに、とはうちも思う。
そうすれば「高校に通うかわいい娘」と二人、
平穏に暮らせるのに。

それでも博士は研究をやめない。
やめられないのだろう。
理由はしらないが。

なんとなく、他人の墓所を暴いているような心持ちになり、
だまってぼんやりと博士の動きをながめていた。

ゆっくりと、イメージする。
…やはり、簡単そうだ。彼を殺すのは。
見えざる狂気に冒された能力者たちや人狼たちとは、
恐らく段違いだろう。
それらの人物たちを殺してきたのだ。
もしそうなれば、ためらうことはない。

話に興味がなかったらしく、
倉庫の主は人様の家で勝手に寝ている。
うちもなんとなく、彼の仮眠所を奪って寝てみた。
博士は「寝る場所がなくなってしまいましたね。」と、
おとうさんみたいなやさしい声でつぶやくように笑った。
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