塩屋

久々に妹のアパートで昼食。

暑苦しい黒髪の黒い服の男が床に転がってるのはええとして、
「マヤ、あんたチビちゃんどないしたん？」
蜘蛛童の姿がない。
…っていうか…。

台所からマヤが振り返る。
「チビちゃん？おおきなったから学校帰したよ～。」
割烹着を着たスカルサムライも一緒に振り返る。
「…あのなぁ…、ほな、そちらの方は…？」
「え？『塩屋』。」
即答。

塩屋はこちらへきて正座し、
畳に指をついてお辞儀する。
うちも思わず三つ指ついてお辞儀する。
どうもどうも、妹がお世話に………っだらっしゃァァーーー！！
違うやろ！！

「どないしてん。」
「塩屋？ひろた。」
「なんで蜘蛛ちゃうん？」
「塩屋ひろたから～。」
問答の間に塩屋が冷たくておいしそうな素麺を運んでくる。

「ええ人やで～。」
マヤは薬味をてんこ盛りにしている。
うちはだまって素麺をすする。
塩屋は台所の後片付けをしている。
「夏休みの宿題一緒にやってくれたし～。」
「………。」

いろいろと言いたいことはあったような気がするが、
とりあえず転がっている黒いのを蹴ってから帰った。