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「シルバーレイン」の北野坂かののブログです。 わからない人にはわからない内容です。
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全部のGTへの出入りの許可をもらった。

強さへの焦燥。力への欲求。
なぜうちはこうも力を求めるのか。

逃げるようにやってきた銀誓館。
大事なものと再会したり、
見つけたり、知ったりした。

一度知ってしまえば引き返せない。
「守る」ために戦っている。

…でも、ふと気付いた。
ああ、やっぱりまだうちは死ぬのが怖いんや、と。

色々なことを考えた。
そして気付けば、とある田舎の小さな神社の前にたっていた。


われながら思い切ったことをしたもんやと思いながら、
稲荷さんを通り過ぎて鳥居をくぐると、
ちょうど老婆が柄杓で桶に汲んだ水を木にかけていた。

時間がとまったような気がした。

初めて見る人。知らない人。
やのにその人がだれだかわかる。

「…浦上さん。」

声をかけると、老婆は顔をあげ、
はい、どないしはりました…と言いかけてから、
動きをとめてこちらの顔をじっと見つめていた。

「北野坂、いいます。」

老婆は今度は確信をもった表情になり、
それからこちらに背を向けて「帰りや。」とつぶやいた。

うちは近くの縁台に腰掛けた。
辺りを見回すと、
神社らしく緑が生い茂り影を落としていた。
初めて見たような気がせんところ。
木々を見上げながら、
なんの緊張も構えもなく、すっと言葉がでた。

「おばあちゃん。」

老婆は振り返り、しばらく黙っていた。
それから、「髪の毛、そないに赤うして…。」と、
しゃがれた声で小さくいった。

「うん、マヤちゃんとおそろいやねん。」
長くのばした金髪をいじくりながら続けた。
「おばあちゃん、うち、オカンに似とる?」

「うん、よう似とる…。」
老婆は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら歩みより、
うちを抱き締めた。
うちも必死で抱きついた。

血とは、こないに強いもんなんか。
血が繋がっとらんでも、
マヤちゃんとうちはなにがなんでも絶対に姉妹。
けど、それとは違うなにかを感じた。

うちは今までオカンはゼロやと思っとった。
見たこともない、会ったこともない、
話を聞いたこともほとんどない。
うちにとってオカンは存在せんのと同じやと思っとった。

でも、目の前の祖母を前に、
「オカンはゼロやった」なんて絶対に思えんかった。

うちの中に流れとるオカンの血。
ファイアフォックスの能力。
おばあちゃんやもっと前のご先祖さんから繋がる血脈。

おばあちゃんはうちを家へ連れていって、
アルバムを出してきたり、
やれあれがあの子が成人のときに着た振袖や、
やれあんたのオトンが挨拶きたときじいさんが怒って大騒ぎやったとか、
嬉しそうにいろんな話をしてくれた。

オカンは生きた。
おばあちゃんから生まれて、
いろんな人と出会うて生きて、
オトンに出会うて、
うちを生んで、
…そしてマヤちゃんの中におる。

そう感じた。

死ぬのはこわい。当たり前のこと。
でも今はもう、死ぬのはゼロになることやなんて思えへんかった。

色んな繋がり。
生きとる限り、血も糸もなにもかも繋がって広がっていく。
断ち切れるものも、断ち切れへんものも。

死んでも切れへんもんがある。
そしてそれは、きっとずうっと繋がりのびていく。のばしていく。
うちやおばあちゃんやオトンやマヤちゃんが。
連綿と。
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